海色の世界を、君のとなりで。
「そんな陰口言っちゃ駄目だと思う」
そこにいた三人組のひとり、中山さんが、「何よ」と眉根を寄せた。
あとの二人も渋い顔をしている。
「いちいち口出ししないでくれる?言うも言わないもうちらの勝手じゃん」
「そうだよ。栞には関係ないでしょ」
「本人に直接言ってるわけじゃないんだからさ」
三本の矢と比較すると対照的すぎてなんだか悪い気がするが、弱いものが合わさって強くなるという点においては同じだ。
彼女たち一人ひとりは弱いのに、三人集まるとこんなにも棘のある言葉をぶつけることができるようになる。
「可奈だって沢山努力してるの。それを罵倒するのは違うと思う」
「余裕そうにしちゃってさ。栞、そういうとこあるよね」
「偉そうな感じ」
「お高くとまってるっていうか」
言葉が三倍になって返ってくる。