海色の世界を、君のとなりで。

「……努力が報われないことを嘆くより、報われるほどの努力をしたら?」


ああ。言ってしまった。

ガラガラと何かが音を立てて崩れ落ちていく。

どこまでも深い奈落の底に堕ちていく。


強引に鞄に物を詰め込んで、足早に部室を去った。

一言も発することなく、彼女たちと視線を合わせることもなく。


……苦しい。痛い。────哀しい。


黒い感情がどろどろと混ざり合って、わたしを呑み込んでいく。

巨大な渦に取り込まれ、自分が禍々(まがまが)しい何かに()まっていくような、そんな感覚がした。
< 76 / 323 >

この作品をシェア

pagetop