海色の世界を、君のとなりで。
***

一人になって、激昂の波がおさまると、今度はひどく大きな罪悪感にかられた。


どうして、あんなこと言ってしまったんだろう。

あんなのは、完全な八つ当たりだ。


確かにわたしが練習にあまり力を入れていなかったのは事実だし、余裕そうにしていると思われても仕方がないような態度をとっていたのもまた事実だ。

だから、彼女たちが言ったことは間違っていない。

あまりにも正論すぎて、悔しかったのだ。

痛いところを突かれて、つい言い返してしまった。

今まで抑え込んでいたものが一気に出てしまった。

我慢していた黒い感情を彼女たちにぶつけてしまった。


「最悪」


自分はなんて愚かで、惨めで、最低な人間なんだろう。

結局抑え込めていないし、口に出してしまった。

言葉にしてしまった。


薫風を頬に感じながら、フェンスにもたれる。

目の前には、小さくも広い街が広がっている。


「……消えたい」


独りごちる。

今なら、誰もいない。誰も見ていない。

本音を吐き出したって、いいだろう。

"闇アピ"なんて言葉で否定的に片付けられてしまうようなこの思いも、胸の中に生まれているのは事実。

包み隠さず、出す場所だって大切だ。
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