海色の世界を、君のとなりで。

これは紛れもなくわたしの言動が招いてしまった結果だから、仕方のないことだ。

傷つかないわけじゃない。

やめてほしいとも思っている。


けれど、人間である限り。

女子である限り。

特に多感な女子高生である限り。

一度崩れてしまった人間関係の再構築はほぼ不可能に等しい。

どう頑張ったってギスギスする前のようには戻れないし、一度言ってしまった言葉は取り消せない。

彼女たちの言葉がわたしの心に深く突き刺さったように、わたしの言葉もまた彼女たちの心にも少なからず影響を与えてしまっただろう。


「星野!」


隣のコートから大きな声が聞こえてきて、無意識のうちに視線が吸い寄せられる。

ボールを受け取った星野はなんなく敵をかわし、ゴールに一直線に進んでいった。

シュートをする直前でくるっと手を回して、ブロックのタイミングをずらし、華麗にダブルクラッチを決めた。

ナイシュー、と声があがる。

隣では可奈がパチパチと小さく拍手をしていた。


「栞、そろそろ合わせの練習するよ」

「……はいっ」


声をかけられて少し狼狽えてしまう。

声の主は麗華先輩だった。

真波先輩ではなかったことに少しばかり安堵し、コートに入る。


「栞ちゃんっ」

「ん?」


名前を呼ばれて振り返る。

可奈は自らの拳を握り、ガッツポーズをしていた。


「頑張って!」


ふ、と笑みが洩れる。
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