NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
大打ノボルの秘められた黒い意思/運命の舞台、九州へ
野心という黒い聖火③



三貫野の口からは、大打ノボルを驚愕させる指摘がこれで終わることはなかった。

「なんだと!星流会だと…?三貫野…、じゃあ、その東龍会の下部組織は相和会と縄張りが隣接してて、これまでもずっと小競り合いを繰り返してきた”仲”ってことなのかよ!」

「ええ。しかも、星流会の切り口ってのが、だいたいはガキを表に立ててけしかけるってパターンだったらしい。もっとも、星流会は決まって相和会に押し返されてて…。ですが、結末は返り討ちがわかっていても、相和会を何としても傘下に加えたい東西としては、定期的にけん制球を投げとく必要性があるという背景があったんです。なので、双方大手間ではこの”定期行事”を双方の相和会監視の機会として黙認してるんです」

”ふう…、この三貫野ってヤロウ、何と洗練された眼を持ってるんだ。驚いたぜ…”


...


「…ノボルさん、東龍会の枝である星流会は、従来からガキを2次組織化する独自のビジョンを持っていて…。今は愚連隊系をそれに着かせているようだが、本心はもっとより”ガキな連中”を取りこむ腹みたいなんです。で…、もうその動きは起こしてると思う…」

「おい!ならよう、それって…‼」

「そうですよ、ノボルさん‼アンタがイメージしてるやくざとオレたちとのパートナー関係に限りなく重なる…。しかも、星流会はこの国の景気がかつてない上り調子ってことを念頭に、ガキを介した新たなシノギを得られる市場って読みで、親筋にもその理解を得てるんです。つまり、アンタのおひざ元を縄張りとする権田組の親筋・東龍会自身が、ガキとのツルミにも深い興味を持ってるってことですよ」

”参った…!こうも点と点がこっちの望む方向で繋がってくれてるなんてな…”

大打ノボルはもはや、何のためらいもなく、ただため息をついていた。





「…三貫野、九州到着すぐに、なんとも”元気”の出で感謝する。さあ…、そうなるとだ…、オレのアクションは言うまでもない。それ、お前…、この熊本という舞台でコーディネートできるんだな?」

「もちろんですよ!ネタをこしらえる”材料”はいくらでもストックしてある。任せて欲しい」

”決まった!この熊本で火をつけてやるぜ(薄笑)。…で、横浜の椎名と武次郎ともリアルタイムで連携だ。こっちの描くカタチを以ってやくざ屋さんどもとの前例にない斬新な提携関係、その下地を一挙に作り上げてやる!”

大打ノボルは九州の地に足を踏み入れた初日の夜、その秘められた黒い野望を満点の星々に放った。
だが…、その野望という光は、夜の帳も押しのけるようなどんよりとした漆黒色を滴らせていた…。



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