親が体験した怪奇譚/短編ホラー集ー家族愛編ー
その5



お父さんの先祖は、その呪縛に屈せずに一族の血を途絶さないと誓い、代々その意志を伝承してきたのとのことです。

「…裏切り者とされた祖先にも言い分があったんでしょうし、一族はずっと協力し合い、窃盗癖を植え付けられた家系を掌握してきたのね。それで、一族は知恵を絞ってその呪縛を取り払う様々な試行を繰り返してきたそうなの」

父の先祖は、代々の一族がに呪縛の実情を長きにわたって解析してきたのです。
その結果、窃盗癖を継ぐのは一系統のみで、その系譜は本家とは限らずに、女子が嫁いだ先も複数経てるというものでした。

しかし、すべての代に盗難癖を持つ子が現れるとは限らず、つまり、代によってはその家の子供全員が一生にわたって盗みの欲求を発症しないケースもある訳です。
まさに、私の代はそれに当たっているようで、兄弟3人、今のところ全く盗難癖に目覚めていません。

「そのたどり着いた先がお父さんだったんだけど、あなたの代はとんで、翔太が継いだようね」

「翔太、かわいそうに…」

私は大きくため息を漏らし、泣きたい気分でそう漏らしました。


...


しかし、母は表情を変えずに話を先に進めます。

「…一族の先祖はさらに盗難癖に駆られる時期や回数なんかを分析して、ある法則というか傾向を掴んだみたいなの」

その分析では、幼少期より”癖”に駆られるまま、ある一定回数の盗難行為を連続的に行うと、以後は盗みたいという欲求が鎮静するというものでした。

「無論、個人差はだいぶあったでしょうけど、代を重ねるに従って、それがますますデータとして説得力を備えていったみたい。見方を変えれば、呪縛の力は上限があって、それを消化すれば盗難癖から解放される…。それは、自分でコントロールも可能ってことよね」

母はとにかく冷静でしたし、説明は順序立ってて、とてもわかりやすいものでした。
更にこのあと母の口から出た言葉に、私はさらに驚かされます。




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