親が体験した怪奇譚/短編ホラー集ー家族愛編ー
その6
「…そうやって一族が解き明かした分析を後の代に伝え、それを更に次の代がって具合にね…。それが明治前後の代になって、ある試みをした…。あのね…」
その試みとは、何と一旦盗んだものを元に返すという行為でした。
「…盗んだものをその後どうしようが、盗む欲求の消化にカウントできることが分かったの。それ以降、盗難癖を承継した子孫は、その欲求が生じたら、なるべく小さい子供のうちにその欲求を消化させちゃって、それをすぐに元に戻てし、なるべく罪に問われない工夫もするという手法にたどり着いたのよ」
私はいつの間にか、母の話を前のめりなって聞き入っていました。
...
そして、母の話はここで佳境に入ります。
「…お父さんの先祖を裏切り者として制裁の呪術を与えた側からすると、裏切り者の子孫が実際に窃盗罪という犯罪を犯し、罪に問われることを望んだんでしょう。でも、究極のところは、そんな盗難癖を持って生まれるような子は生まない方がいい、犯罪者を運命つけられた血は絶やした方がいいと思わせ、裏切り者の家系を根絶やしにしたい…、これが目的だと、お父さんの一族は捉えていたようね。そこで、それには断固として一族の血を残していこうと、十数代にわたって戦ってきたのよ」
母はここで私の手を取って、さらに力強い口調になりました。
「…いい、美穂。ここまで言ったらわかると思うけど、翔太は今この家系に伝わるその欲求を受け継ぎ、それに目覚めたところなの。であれば、お父さんがそうであったように、先祖の皆さんが長い間にわたって伝え導いてくださった知恵を活かしてね、家族みんなで協力して解決していきましょう」
「お母さん…、わかった。じゃあ、まずはお父さんのタイムカプセルね!」
「そうよ。きっと、細かいデータとお父さんが自分の経験を通して導いた知恵を残してくれてるわ。それをしっかりと確かめて、それから圭祐さんと翔太にどうやって話すか、よく相談しましょう。それまでは翔太にはうまく接してね」
「でも、どうやって…」
「要は愛情を持って包み込んでやればいいの。これは、家族みんなで乗り越えることだから…」
私は母が握る手を強く握り返していました。
「…そうやって一族が解き明かした分析を後の代に伝え、それを更に次の代がって具合にね…。それが明治前後の代になって、ある試みをした…。あのね…」
その試みとは、何と一旦盗んだものを元に返すという行為でした。
「…盗んだものをその後どうしようが、盗む欲求の消化にカウントできることが分かったの。それ以降、盗難癖を承継した子孫は、その欲求が生じたら、なるべく小さい子供のうちにその欲求を消化させちゃって、それをすぐに元に戻てし、なるべく罪に問われない工夫もするという手法にたどり着いたのよ」
私はいつの間にか、母の話を前のめりなって聞き入っていました。
...
そして、母の話はここで佳境に入ります。
「…お父さんの先祖を裏切り者として制裁の呪術を与えた側からすると、裏切り者の子孫が実際に窃盗罪という犯罪を犯し、罪に問われることを望んだんでしょう。でも、究極のところは、そんな盗難癖を持って生まれるような子は生まない方がいい、犯罪者を運命つけられた血は絶やした方がいいと思わせ、裏切り者の家系を根絶やしにしたい…、これが目的だと、お父さんの一族は捉えていたようね。そこで、それには断固として一族の血を残していこうと、十数代にわたって戦ってきたのよ」
母はここで私の手を取って、さらに力強い口調になりました。
「…いい、美穂。ここまで言ったらわかると思うけど、翔太は今この家系に伝わるその欲求を受け継ぎ、それに目覚めたところなの。であれば、お父さんがそうであったように、先祖の皆さんが長い間にわたって伝え導いてくださった知恵を活かしてね、家族みんなで協力して解決していきましょう」
「お母さん…、わかった。じゃあ、まずはお父さんのタイムカプセルね!」
「そうよ。きっと、細かいデータとお父さんが自分の経験を通して導いた知恵を残してくれてるわ。それをしっかりと確かめて、それから圭祐さんと翔太にどうやって話すか、よく相談しましょう。それまでは翔太にはうまく接してね」
「でも、どうやって…」
「要は愛情を持って包み込んでやればいいの。これは、家族みんなで乗り越えることだから…」
私は母が握る手を強く握り返していました。