時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

第二十話 好きなものは

目が覚めると、何だかスッキリしていた。
よく眠れたと実感した。

「あの、オズワルド様……」
「どうした? よく眠れたか?」
「はい、ありがとうございます。……ずっと手を握って下さっていたのですか?」

ベッドの横の椅子に座り手を握っているオズワルド様を見るとやっぱり優しい顔だった。

「……色々失礼なことを言ってすみません」
「睡眠が取れずイラついていたのか。気付かなくて悪かった」

オズワルド様はそう言いながら、一つのリボンのついた箱を出した。

「リディアに贈ろうと思って朝作った。これも誤解させていたか」
「すみません」

勝手に勘違いし、イライラに任せ実家に帰ろうとしたことが恥ずかしくなった。

オズワルド様が、開けていいぞ。と言うので開けると、綺麗な黒い鍵が一つあった。

「図書館の魔法の鍵だ」
「凄く綺麗です」
「リンクスは執事だから持っているが、図書館の鍵を人に贈るのはリディアが初めてだ」

図書館の鍵も嬉しいがその気持ちが何より嬉しかった。

「ありがとうございます。大事にしますね。私も何かお礼をします」

お金はお父様が、今まで通り使えるようにしてくれているからお礼はできる。

「何か欲しいものはありませんか?好きなものは何ですか?」
「好きなものはリディアだな」
「私はものではありませんよ」

何を言うのだ。
せっかくよく眠れて穏やかな気持ちになったのに。

「キスをしてもいいか?」
「ダ、ダメです! まだダメです!」
「頬っぺたでもいいぞ」

どうして、恥ずかしげもなく言えるのかしら!
しかし、服は乱れてないし、きっと何もしなかったと思う。
大事にはしてくれている。
その黒い笑顔は気になるけど……。

「……頬っぺたに少しだけですよ!」

そう言うとオズワルド様が、優しく頬っぺたにキスをした。
おもいっきり目を瞑っていたからどのタイミングできたかはわからない。

そっと目を開けると、オズワルド様の整った顔が目の前にあった。

「夜が楽しみだな」
「変なことしたら止めを刺しますよ」

オズワルド様はご機嫌顔で、朝食を食べてないから、一緒に食べよう。と手を引いてくれた。
もう、昼過ぎだったが、オズワルド様に連れられて今日初めての食事を摂りに行った。





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