とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
気を紛らわせるために、ワインレッドに染めたばかりの爪。
マニキュアが少しはみ出してしまった小指が、途端に気になりだす。

「由紀ちゃんの爪のかたちって、きれいだよね。
それにつるつるして、手触りもいい」

「それはかたちを整えて、マニキュアをしてるからで」

「そういうことじゃない。きれいだよ、すごく」



由紀ちゃんの躰は、ぜんぶきれい。



囁くように言われ、わたしはこの唇に親指を包まれたときのことを思い出した。
濡れた熱い唇に、ざらついた舌。


あの夜の太腿の痕は、まだ薄っすらと残っている。


「窓、開けようか」

「え……」

「顔、赤いから」

「暑くは、ないです……。でも、こんなカード持ってるのはこわいです。本当に」

咄嗟に話題を変えて手を振り払い、カードをつき返した。
持っているのがこわいのは本音だった。
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