とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
――由紀ちゃんはすらっとして、モデルさんみたいね。
――由紀ちゃんはお父さんに似たんだな。背が高くて、スリムで。
あー……美紀ちゃんは、お母さん似かな?
幼い頃から法事だなんだで集まると、親戚はこぞってそう口にした。
家に帰ってむくれる妹を宥めるのはいつも母の役割で、家の中では自然と妹と母、わたしと父、という見えない線が引かれていた。
それはなんとなくの線であって、わたしと母が不仲というわけでも、妹と父が不仲というわけでもない。
ただ、正直なところ、わたしは母より父の方が話していて楽だった。
妹と母はべったりとしたところがあり、わたしと父にはそれがなかった。
アイドルのSNSの投稿を深読みして一喜一憂する妹も、テレビの前で芸能人の浮気や不倫にああだこうだと真剣に言う母も、自分とは別の世界の生き物に見えるときがある。
もちろん、どちらの世界が優れているだとか、そういうことではない。
どうして知り合いでもないテレビの中の人間に、そんなに熱量を注げるのかが、わたしにはわからないのだ。
もし、わたしと母と妹がクラスメイトだとしたら、わたしは二人とは同じグループには属さないだろう。
朝の挨拶とたまの会話をする程度の、そんな関係。
憂うわけでも悲観するわけでもなく、ただ冷静にそう考える。
好きだとか嫌いだとかではなく、合わないものは合わないのだ。