とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「ほい、大根おろし。やっぱこの時期っていいよな。飯がうまくて」

康くんが大根おろしのたっぷりとのったお皿をテーブルに置いた。
ご飯にのせるか玉子焼きにのせるか考え、玉子焼きにのせた。
鮮やかな黄色が、より鮮やかになる。

「康くんさ、この大根おろしって、なにか特別なことしたの? ふわっとしてるけど」

「だろ? おろし金、代えたんだよ。テレビで見て気になってさあ。
ちょっと高かったけど激的にうまくなるんだよ」

「康くんってそういうところマメだよねえ。僕、康くんの恋人でよかったなあ」

「いや、しんちゃんの方が料理うまいよ。
この前つくってくれたビーフシチュー、すげえうまかったもん。かぼちゃのコロッケも」

「そう? じゃあ、またつくろうかな」

「やったあ」

(むつ)み合う二人。
わたしは黒子(くろこ)に徹し、玉子焼きを口に運ぶ。

大根おろしは思ったよりも(から)くて、しばらく鼻がつーんと痛かった。
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