とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
ワンピースを慎重に脱いでハンガーにかけ、ゆったりしたニットのワンピースに着替えると、身体はすぐにほどけていった。
天井を仰いで思い切り伸びをする。
肩甲骨と脹脛(ふくらはぎ)がびりびりと痺れた。

早く、ワンピースをクリーニングに出そう。
こんな高い服を無防備にしておきたくない。


邑木さんはわたしと別れた後、玲子さんとなにを話したのだろう。

わたしのこと? 雲丹のこと?

邑木さんとあの(ひと)はどんなふうに話すのだろう。
わたしなんかよりもっと対等に、もっと落ち着いた会話をするのだろうか。

少なくとも玲子さんは声を荒げて、車から飛び出したりはしない。
あんな子どもじみたことは、きっとしない。


手鏡に向かってリップを塗り直した。
邑木さんは気にしなくても、わたしが気になる。

テラコッタカラーに染まっていく唇を眺めているうちに、昨日の夜の痛みを思い出した。

康くん達とバーから帰るとき、お店を出たわたしは足元がぐらつき、咄嗟に煉瓦の壁に手のひらをついた。
後を引くような痛みではなかったものの、ざらりとした煉瓦で擦った小指は、あの瞬間は()けるような痛みが走った。
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