好きになっちゃ、だめでしたか?
 たまに顔を見せる太陽が眩しい。一華と2人で近くにある木の下に避難していた。

 わたしが出る競技は午前中の借り物競走と午後の玉入れで、まだ時間の余裕はある。

「借り物競争って、カップル限定のお題があるらしいよ」

 一華は、目の前で繰り広げられいてる戦いを目にしながら、呑気にそんなことを言う。

 今、るいさんは近くにいない。

 戦っている人たちの中に混ざっているようだった。

「なにそれ」

「わたしも詳しくは分かんないけど。当たんないといいね?」

 一華はわたしの肩に手を置いた。

 体育祭にも関わらずほとんど身体を動かさないで話をしていると、ついに借り物競走の番が近づいてきて呼ばれる。

「頑張って」   

 一華は「無理しないで」と背中を叩いてくれる。

「うん、ゆるく頑張ってくる」

 校舎脇で待機していると、前の競技が終わっていよいよ借り物競走の番が来た。

 列に並んで、自分の分を待つ。少しずつ、前に進んでいく。

 借り物競走は昔から見物には人気らしく、トイレに行っていた人たちも戻ってきていた。

 ある人は教師にお姫様抱っこされていたり、ある人は校長先生を引っ張って走っていたり、ある人はなにかを借りるためにどこかへと旅に出たり、確かに見ている分には面白い。

 書かれたものを持っていくと、マイクを持った委員に内容を叫ばれ判定が出る。そして、順位が決まる。
 
 変なのが出たら嫌だなあ、と思っていると、ついにわたしの番になった。

 ピストルが鳴らされ、軽めに走って自分のレーンの先にある机の上に書かれている紙を手にする。

 一度呼吸を正してから紙をゆっくりと開く。

【大切な異性】

 女子が書いたみたいな奇麗な文字だった。

 
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