好きになっちゃ、だめでしたか?
「お兄ちゃん、あの人のこと見過ぎ」
妹が耳元で囁いてくると、はっとし留衣を見た。
留衣もまた神山の存在に気付いているようだが、意識的に見ないようにしているようだった。けれど、やっぱり気になっているのかときどき神山のいるほうをちらりと見ている。
「あ、そうだ。留衣さん。今度漫画、貸してくれる?」
留衣は妹を見ると、ぱっと口元に笑顔を咲かせた。
「うん、いいよ。いつもの通り、恋愛漫画ばっかりだけどね」
「恋愛漫画、好きだから。お兄ちゃんの漫画なんて、誰かと誰かが戦うだけでつまんないし。やっぱり、イケメン王子様との恋愛……」
まで言うと、妹は「なんて、今は古いですよね? かっこよければいいって話じゃないし、ね、お兄ちゃん」と1人慌てている。
「紗季ちゃん、知ってるんだね」
留衣は小さく笑いながら妹を見た。妹は、ごめんなさい、聞いちゃいました、と肩を丸ませて顔を下げた。
「ううん、大丈夫。蒼とか一華とかが励ましてくれて。やっぱり持つべきものは幼馴染と友達だよね」
留衣と目が合った。心臓がどきりと動いた。けれど同時に、幼馴染、という言葉が肩に重くのしかかる。
「う、うん、わたしもそう思います」
「ていうかさ、知ってる? 大野が留衣のこと奪ったって噂立ってるの。ほら、借り物競走のときのあれ」
「え、うそ。ごめん。わたしが大切な異性、に蒼を連れてったから。本当はお兄ちゃん連れてくつもりだったんだけど、ああいうときに限っていなくて」
留衣の慌てようを見ていると、重くのしかかっていたものもふっと軽くなる。そのとき、うしろになにやら気配を感じた。
「えー? 俺がなに? みんなで俺のいないところで俺の話?」
とんでもない圧を放っていたのは、留衣の兄貴だった。
そして留衣の兄貴が現れた途端、まさかの矢崎の顔が分かりやすく赤くなるのを俺は見逃さなかった。
妹が耳元で囁いてくると、はっとし留衣を見た。
留衣もまた神山の存在に気付いているようだが、意識的に見ないようにしているようだった。けれど、やっぱり気になっているのかときどき神山のいるほうをちらりと見ている。
「あ、そうだ。留衣さん。今度漫画、貸してくれる?」
留衣は妹を見ると、ぱっと口元に笑顔を咲かせた。
「うん、いいよ。いつもの通り、恋愛漫画ばっかりだけどね」
「恋愛漫画、好きだから。お兄ちゃんの漫画なんて、誰かと誰かが戦うだけでつまんないし。やっぱり、イケメン王子様との恋愛……」
まで言うと、妹は「なんて、今は古いですよね? かっこよければいいって話じゃないし、ね、お兄ちゃん」と1人慌てている。
「紗季ちゃん、知ってるんだね」
留衣は小さく笑いながら妹を見た。妹は、ごめんなさい、聞いちゃいました、と肩を丸ませて顔を下げた。
「ううん、大丈夫。蒼とか一華とかが励ましてくれて。やっぱり持つべきものは幼馴染と友達だよね」
留衣と目が合った。心臓がどきりと動いた。けれど同時に、幼馴染、という言葉が肩に重くのしかかる。
「う、うん、わたしもそう思います」
「ていうかさ、知ってる? 大野が留衣のこと奪ったって噂立ってるの。ほら、借り物競走のときのあれ」
「え、うそ。ごめん。わたしが大切な異性、に蒼を連れてったから。本当はお兄ちゃん連れてくつもりだったんだけど、ああいうときに限っていなくて」
留衣の慌てようを見ていると、重くのしかかっていたものもふっと軽くなる。そのとき、うしろになにやら気配を感じた。
「えー? 俺がなに? みんなで俺のいないところで俺の話?」
とんでもない圧を放っていたのは、留衣の兄貴だった。
そして留衣の兄貴が現れた途端、まさかの矢崎の顔が分かりやすく赤くなるのを俺は見逃さなかった。