双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
靴を履く晃介の背中が、一瞬動きを止めて沈黙する。

「晃介……?」

振り返り、真っ直ぐに葵を見つめた。

「葵。さっきはああ言ったけど、俺、諦めたわけじゃないから」

「……え?」

「葵の気持ち。……一生かけて、取り戻すつもりだ」

思いがけない告白に、息を呑んで葵はただ瞬きを繰り返す。

そこへ晃介がたたみかけた。

「俺の気持ちはあの頃から少しも変わっていない。君が誰よりも大切だ。愛してるよ、葵。……おやすみ」

静かに閉まったドアを見つめて、葵はその場に座り込む。

真っ直ぐな視線と熱い言葉に胸を貫かれたような心地がした。

今この瞬間に、自分の中のなにかが変わるのを感じていた。

——もう一度、考えてみよう。

強い思いが頭に浮かぶ。

葵と晃介、それから子供たちの未来のために、怖いものからただ逃げるだけの生き方はやめにするのだ。

『愛してる』

変わらない思いをくれた晃介となら、きっととそれができるはず。

「晃介」

呟いて、葵はゆっくり目を閉じた。
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