双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
あの頃のように細い身体を後ろから抱きしめて、白い首筋に口づけたい。

小さな耳を本能のままむさぼりたい……。

目を閉じて、晃介はふーっと長い息を吐く。

少し頭を冷やさなくては。

たとえばあのままそうしたとして、彼女は拒否をしなかっただろう。

子供たちの髪を乾かす自分を見つめていた葵の目には、あの頃と同じ色が浮かんでいた。

でもだからこそ、やはり事態は複雑なのだという確信を、晃介は深めた。

"愛情はなくなったから、別れたい"

二年半前に突然送られてきたメッセージは、彼女の本心ではなかった。

大好きな仕事も恋人もなにもかもを捨て、姿を消さなくてはならないなにかが彼女の身に起こったのだ。

話してくれれば必ず解決してみせる。葵と子供たちをなにからも守ると言い切れる。たとえそれですべてを失うことになったとしても。

澄んだ空気の都会の空に、晃介はそう誓った。
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