息霊ーイキリョウー/長編ホラーミステリー
導かれる者たち/その2
「…その後、数か月してから、運転して歌うたった方の医師が60代の医師を訪ねた。…ああ、ここで60代をA、40代の運転した方をB、もう一人をCとしよう」
”どうやら、トンネルでの体験を共にした3人の後日譚になるようだ…”
律子はふと思った。
3人は隠山トンネルで同じ時間を共有したが、その後、わが身に及んだコトはおそらく同じでなかっただろうと…。
そんな予想が頭を巡ったのだ。
しかも、彼女にはその根拠と言えるものも、おおよそは掴めていた…。
...
ここから多田の口調は明らかに変わった。
「この時のB氏は実に深刻そうな顔つきをしていたようで、A氏もただ事ではないと察したそうだが、そのA氏はB氏からある悩みを打ち明けられてね…、愕然となって言葉を失ったという」
”きっと、あのトンネルでのことを発端として、何やらBに異変が起こったんだろう…”
即座に律子はそんな推測に至った。
「…その日の夜中、B氏はトイレで目を覚ますと、隣で寝ていたはずの妻がベッドにいなかった。家中を探しても、どこにもいないというんだ。B氏は明け方まで起きて待っていたが、翌朝になっても妻は帰らなかった。B氏は妻の友人や心あたりに連絡を取ったが、妻の居所は分からず、結局、その日の夕方になって妻の実家と相談して警察に届けたんだそうだ」
多田はいったん一呼吸おいてから、さらに話を続けた。
「…そしてその日の深夜、警察から連絡があった。妻らしき女性を保護したとね。確かにその女性は医師であるB氏の妻だった。だが、奥さんが発見された場所はなんと、この静町だったんだ。派手な赤いスーツ姿で、夜11時ごろ路上を徘徊しているところを発見されたと…」
「…奥さん、例のトンネルに行ったんですね?」
律子は低い声で多田に尋ねた。
それはどこか、詰問調だった…。
「…その後、数か月してから、運転して歌うたった方の医師が60代の医師を訪ねた。…ああ、ここで60代をA、40代の運転した方をB、もう一人をCとしよう」
”どうやら、トンネルでの体験を共にした3人の後日譚になるようだ…”
律子はふと思った。
3人は隠山トンネルで同じ時間を共有したが、その後、わが身に及んだコトはおそらく同じでなかっただろうと…。
そんな予想が頭を巡ったのだ。
しかも、彼女にはその根拠と言えるものも、おおよそは掴めていた…。
...
ここから多田の口調は明らかに変わった。
「この時のB氏は実に深刻そうな顔つきをしていたようで、A氏もただ事ではないと察したそうだが、そのA氏はB氏からある悩みを打ち明けられてね…、愕然となって言葉を失ったという」
”きっと、あのトンネルでのことを発端として、何やらBに異変が起こったんだろう…”
即座に律子はそんな推測に至った。
「…その日の夜中、B氏はトイレで目を覚ますと、隣で寝ていたはずの妻がベッドにいなかった。家中を探しても、どこにもいないというんだ。B氏は明け方まで起きて待っていたが、翌朝になっても妻は帰らなかった。B氏は妻の友人や心あたりに連絡を取ったが、妻の居所は分からず、結局、その日の夕方になって妻の実家と相談して警察に届けたんだそうだ」
多田はいったん一呼吸おいてから、さらに話を続けた。
「…そしてその日の深夜、警察から連絡があった。妻らしき女性を保護したとね。確かにその女性は医師であるB氏の妻だった。だが、奥さんが発見された場所はなんと、この静町だったんだ。派手な赤いスーツ姿で、夜11時ごろ路上を徘徊しているところを発見されたと…」
「…奥さん、例のトンネルに行ったんですね?」
律子は低い声で多田に尋ねた。
それはどこか、詰問調だった…。