※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
「別れてほしい」
開口一番、ロズウェルは義母に向かってそう言い放った。
「何を言っているの⁉」
義母は顔を真っ赤に染め、首を大きく横に振る。
「わたくしが何のためにあんな冴えない伯爵の後妻におさまったと思ってるの⁉ 全部全部貴方のためでしょう? 貴方がラグエルの財産がほしいって言うから……」
(やっぱり……)
事前に予想はしていたけれど、実際に義母の口から聞くと、腸が煮えくり返りそうだ。
だけど、今はまだ、こいつらの前に姿を表すわけにはいかない。
落ち着けと自分に言い聞かせながら、あたしは静かに息を吐いた。
「ラグエルの財産は約束通り私がいただこう。当然だ――――私が薬を取り寄せなければ、病気になったと見せかけて、あの男を昏睡状態にすることはできなかったのだから。恩恵は正しく受けるべきだろう?」
「なっ……勝手なことを言わないで! わたくしと別れる以上、貴方に遺産を手にする権利なんて欠片もないのよ⁉」
「愚かだな……。君が遺産を渡さないというなら、私は君を、夫に毒を飲ませた毒婦だと密告するだけだ」
「なんですって⁉」
義母が叫ぶ。あたしは息を殺しつつ、二人のことを睨みつけた。
開口一番、ロズウェルは義母に向かってそう言い放った。
「何を言っているの⁉」
義母は顔を真っ赤に染め、首を大きく横に振る。
「わたくしが何のためにあんな冴えない伯爵の後妻におさまったと思ってるの⁉ 全部全部貴方のためでしょう? 貴方がラグエルの財産がほしいって言うから……」
(やっぱり……)
事前に予想はしていたけれど、実際に義母の口から聞くと、腸が煮えくり返りそうだ。
だけど、今はまだ、こいつらの前に姿を表すわけにはいかない。
落ち着けと自分に言い聞かせながら、あたしは静かに息を吐いた。
「ラグエルの財産は約束通り私がいただこう。当然だ――――私が薬を取り寄せなければ、病気になったと見せかけて、あの男を昏睡状態にすることはできなかったのだから。恩恵は正しく受けるべきだろう?」
「なっ……勝手なことを言わないで! わたくしと別れる以上、貴方に遺産を手にする権利なんて欠片もないのよ⁉」
「愚かだな……。君が遺産を渡さないというなら、私は君を、夫に毒を飲ませた毒婦だと密告するだけだ」
「なんですって⁉」
義母が叫ぶ。あたしは息を殺しつつ、二人のことを睨みつけた。