続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
背後から聞こえてきた、よく聞き慣れた声に振り返ると、同じくカートを引いた千歳が、呆れたように、こちらを見ていた。

「ええっ!千歳くん?!」

美弥が、真っ赤な顔を隠すように、両手で頬を覆う。

「なんだ、北沢か」

「えぇ、なんだレベルの北沢ですけどねー……」

千歳は、俺たちを眺めながら、ダイニングテーブルに置く為の、小さなクリスマスツリーをカートに入れた。

「へぇ……クリスマスは、女と家でデートかよ」

「あぁ、どうなんすかね、これ僕のじゃないんで」

「は?誰のだよ?」

「あ、きたきた」

千歳と同じ方へ視線を向ければ、タオル類を抱えた女がこちらにやってくる。ブランケットとバスタオルを4枚程抱えていて、顔がよく見えないが、細身のジーンズにオーバーサイズの白いセーターを着た、スタイルの良い女だ。

俺の視線に、美弥が気づいたのか、肘で俺をツンと突く。

「妬くな」

「違っ、あの人……」 

美弥が、最後まで言葉を発する前に、女は、千歳の引いてるカートの中に、手に持っていたバスタオルとブランケットを一気に放り込んだ。

露わになった、女の顔を、思わず俺は、二度見していた。美弥は、気づいていたようで、驚いている俺を見上げたまま、黙っている。
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