続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「え、実花子?!」

俺に気づいた実花子が、切長の瞳をまん丸にしている。

「え!ちょっと、千歳!何で、颯と野良猫が、こんなことに居るのよ!」

「僕に聞く?僕は、言われたとおり、実花子の部屋に置く、卓上用のツリー、カートに入れにきたら、颯先輩達が、イチャついてたんだけど」

俺は、実花子を頭から爪先まで眺めていた。そもそも、俺は、実花子のジーンズ姿を初めて見た。足元もヒールのついたパンプスでなく、有名ブランドのヒール無しのモカシンを履いている。髪の毛も、いつもは巻いているのに、今日は、軽く整えただけのストレートだ。

「お前ら、もしかしてさー、付き合ってんの?」 

「ち、違うわよっ。沢山買いたいものあったから、運転できないし、千歳に車で連れてきてもらっただけ!ただの、暇つぶしよっ」

「そうなの?その割には、実花子、この後、僕と一緒に食べに行く、オープンしたばかりの創作和食のお店楽しみにしてたじゃん。この間、飲みに行った時も、お一人様じゃ行けないお店が多すぎるとか何とか、拗ねて泣いてさー」

「ばかっ。泣いてないし、拗ねてないわよっ。今日だって、彼女いない可哀想な千歳を誘ってあげただけ」

「……はいはい。もうどっちでもいいや」

実花子の香水が、変わった原因の男が、まさか千歳だったとは驚いた。

そして、服装もそうだが、こんなにも飾らずに、プライベートで男と話す実花子も意外だった。もしかしたら、今更だが、俺と付き合っていた頃の実花子は、ずっと我慢していたのかもしれない。ずっと俺に遠慮して、俺なんかに嫌われないように、いつも一生懸命だったのかもしれない。
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