続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「なぁ、お前らの方が、よっぽどイチャついて見えんだけど?」

「そうすかね。そりゃ、どうも」

俺の言葉に、千歳は、飄々としたまま、肯定ととれる返事で顎をしゃくる。

「千歳のばか!そんな訳ないでしょ。こちらこそ、お邪魔したわねっ」

実花子の視線は、俺からすぐに、美弥に移される。

「あ、あの、その……大丈夫です」

実花子に気押されながらも、美弥が、小さく返事をした。

「野良猫も気にしてないみたいだし。じゃあね。ほら、千歳、次は、お肉買いに行きたいからっ。さっさとカート引いてよね」

「はいはい。実花子は、マジで人使い荒いなぁ……じゃあ、颯先輩、美弥またね」

北沢は、柔らかそうな黒髪をくしゃっと掻きながら、ずんずんと先をいく、実花子の後ろをついていく。


(ありゃ、完全に尻に引かれんな)


「二人仲良さそうだったね」

美弥が、俺にしか聞こえない位の小さな声で、呟いた。そして、その表情は、分かり易いほどに安堵感に満ちている。

「何?嬉しそうだな。実花子が、もう俺に全く、その気ねぇから?」

「そんなこと言ってないもん」

「へぇ、もう妬いてくれねぇの?」

周りに気づかれない程度に、美弥に体を寄せて耳元で、そっと囁いてやる。

「妬けよ。俺、はっきり言ってモテんだけど?その辺、歩いてるだけで、女から声かけられんだけど?」

もう一度、美弥にヤキモチ妬いて欲しい俺は、ワザと美弥が、拗ねるように言葉を羅列していく。そして案の定、美弥は、あっと言う間に小さな唇を尖らせた。

「どうして欲しいか、早く言えよ」
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