続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「話にならないな……。そんな甘い考えだと、今後ますます、颯の隣は、難しいんじゃないのかな。君の身が持たないと思うけど」

「おいっ、麗夜!黙って聞いてたら、いい気になりやがって!」

「……とりあえず、君が訴えないのは、助かるよ。じゃあお大事に」

麗夜は、私と軽く視線を合わせると、静かに扉を閉めて出て行った。

麗夜の姿が見えなくなって、思わず、小さな溜息が漏れ出た。そのまま、ふわりと、体があったかくなって、気づけば、颯のネクタイの結び目が見える。

「いいのかよ……アイツほっといて」

「うん……今の感じだと、私の言ってる事、全然的外れだとは思えなかったし……颯が、無事だったから、それで十分なの」

私は、颯の背中に手を回して、胸元に顔を埋めた。いつもの颯の甘い匂いに、颯がいま目の前にいて、私を抱きしめてくれている事を実感する。

「……心配で……颯に会いたかった……」

「それ俺の台詞。麗夜から、美弥が階段から落ちて病院に運ばれたって聞いて、生きた心地しなかった……母さんみたいに……美弥居なくなったらどうしようって……」

そこまで、言った、颯の声が震えていた、私は、颯の背中に回した掌を、ぎゅうっと握りしめた。

「颯置いてどこにもいかないよ……ずっと側にいる」

颯の掌が、私の頭に巻かれた包帯を何度も優しく撫でる。

そして、そのまま、唇は一つに重なり合う。私は颯の匂いに包まれたまま、ゆっくり瞳を閉じた。

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