続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「マジで助かる……仕事になりそうもねぇし」

『でしょうね』

美弥の頭に包帯を巻かれて、眠ってる姿を見た時は、その眠る顔が、病院で亡くなった母親に重なって、膝が震えた。

医師から話を聞いて、いくら命に別状がないと聞かされても、美弥が目を開けて、俺の名前を呼ぶまで不安でたまらなかった。

『……颯先輩、大丈夫ですか?』

「情けねぇよな……結構堪えた。俺のせいだから」

『……ま、僕から言わしてもらえば、美弥が怪我したのは、颯先輩が原因の一つではありますね。ただ、あくまで、結果論なんで。でも、美弥手放す気ないんだったら、弱音吐く前に、もう二度と美弥が怪我しないように、泣かないように、颯先輩がしっかりしてくれないと困るんですけど……僕が掻っ攫いますよ?』

おまけにこのやり手の部下は、俺のヤル気の出し方も奮い立たせ方も、熟知している。

「誰が渡すかよ」

『了解です。じゃあ、僕、颯先輩のせいで、めちゃくちゃ忙しんで切りますね』

「落ち着いたら飯奢る」

『ですねー、めちゃくちゃ高いとこで。じゃあ、業務報告は、先輩の個人パソコンに逐一入れときます』

ツー、ツー、と話中音が、聞こえたのを確認してから、俺はスラックスのポケットに、スマホを仕舞う。

美弥が眠ってる間に一度家に帰って、美弥の着替えと俺の着替えを取りに帰ろう。俺は、院内の、携帯電話使用可能エリアを出ると、エントランスに向かっていく。

角を曲がった休憩スペースで、俺は、すぐに足を止めた。俺を待ち侘びたように、缶コーヒーを片手に、長身のスーツ姿の男が壁に、もたれ掛かっている。

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