続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
麻美が、そんな私の顔を眺めながら、猫目で微笑んだ。

先週、千歳からシステムキッチンの新オプションの企画書を全社員対象に募集すると聞いて、私は、迷わず応募する事に決めた。

前職の大手キッチンメーカーの主力商品だった、『エターナルキッチン』の知識を踏まえた上で、顧客から見て、目新しく、かつ女の城と呼ばれる、キッチンが、女性だけでなく家族みんなが、笑顔になるような場所であって欲しい。

そんなキッチンを作るお手伝いができたらどんなにいいだろう。最近の私は、時間さえあれば、この企画のことばかり考えていた。

「美弥ちゃん、颯さん、もう来る?」

「うん、そろそろ来る時間。もう少しでキリがいいから」

「了解、よいクリスマスイブとクリスマスを」

麻美が、おどけて、敬礼ポーズをとりながら、事務所扉を後にした。

その後ろ姿を微笑ましく眺めながら、私は、一瞬だけ宙を見上げた。

「……早いなぁ、もうイブか……」

正直、この1か月は時間の感覚があまりなかったかもしれない。そのくらい、仕事もプライベートも満たされていたと思う。

麗夜に関しても、あれから、私とも、颯とも一切口は聞かなくなったが、嫌がらせや、颯を陥れる罠を仕掛けて来ることもなくなった。近頃の麗夜は、本来の広報マーケティングの仕事に没頭していて、来季オープンするアウトレットモールの宣伝の為に、毎週金曜日の夜は、都内の電車をプロジェクションマッピングで占拠し、安堂不動産と手がけるアウトレットモールを木戸英玲奈を使って大々的に宣伝し、テレビや雑誌でも大きな話題となっていた。


「……おい、俺の猫は、イブまで一人で残業かよ」
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