続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「ビーフシチュー作るって颯と約束したのに……冷蔵庫に、ちゃんと材料も買っておいたのに……作る時間なくなっちゃったの……ひっく……」

ぐすぐすと泣きじゃる美弥を抱えたまま、俺は、目を丸くしていた。思わず、そんなことでと言いかけて口を覆う。

「颯が、ビーフシチュー美味しそうに食べる顔が、どうしても見たかったの……」

(どんだけ、可愛い事、言えば気が済むんだよっ)

目に涙をいっぱい浮かべて、そんな言葉を聞かされた俺は、どうしたらいいんだろうか。心も身体も一瞬で火照りそうだ。

本音を言えば、美弥には、また怒られそうだが、もう今すぐにでも、美弥んナカに入りたい。

美弥を食べてしまいたい。

俺だけのモノにしたい。

俺は、深呼吸を一つして、精一杯の平静を装いながら、美弥の目を見つめ直した。

「今から、急いで帰るから、俺も手伝うし、一緒にビーフシチュー作ろ?」

「颯……お腹減ってないの?」

「さっき、美弥食べたから、飯は待てる」

「ほんと?じゃあ、お(うち)帰ったらすぐ作る」

美弥の顔が、ぱっと花が咲いたみたいに明るくなると、はにかみながら、ようやく笑った。

その笑顔が、たまらなく愛おしくて、俺は、美弥に軽くキスを一つ落としてから、すぐにハンドルを握った。
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