続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
(……空気読めよ、誰だよっ)

小さな舌打ち共に、咄嗟にスラックス中から、スマホを取り出したが、着信音が鳴っているのは、俺のスマホじゃない。

「あれ?美弥のだぞ」

「え?私?」

ビーフシチューをダイニングテーブルに、ことりと置くと、美弥が、リビングのチェストの上のスマホを手に取った。美弥が鳴り響くスマホの液晶画面を確認するのと、ほぼ同時に着信は途切れた。

「美弥?」

「……あ、間違い電話みたい……お腹減ったね、食べよ」

「?……あぁ、食べよっか」


ーーーー気のせいだろうか?

横顔だから、はっきりとは、わからなかったが、一瞬、美弥の表情が、強張ったような気がしたから。

美弥は、俺の前に腰掛けると、エプロンを外して嬉しそうに、にこりと笑った。

「手を合わせてくださいっ」

「ぷっ、学校の給食かよ」

俺は、美弥に言われた通り掌を合わせる。

「いただきます」
「いただきます」

ほぼ同じタイミングでビーフシチューを口に放り込むと、俺達は、顔を見合わせて笑った。
< 144 / 262 >

この作品をシェア

pagetop