続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
★「ふっ……俺、美弥を泣かしてばっかだな」

「はや……ひっく……」

嬉しくて、言葉よりも涙だけが、返事をする。

「美弥、ちゃんと返事は?」

私から溢れた涙を、颯は何度も唇で舐め取りながら、慈しむように、私の瞳と頬に何度もキスの雨を降らせる。

「っ……はい……」

もっと、颯に言いたいことも言わなきゃいけない事もあるのに、言葉が続かない。

もう、幸せすぎて、涙で、ぐしゃぐしゃだ。

「泣き虫」

嬉しくて、幸せで、涙は、ずっと転がりっぱなしだ。颯が居るなら、颯がこうやって涙を掬ってくれるから、もう涙なんて一生止まらなくてもいいのかもしれない。

「颯……愛してる……」

「美弥を愛してるよ」

その言葉と共に、一気に最奥に突き立てられた熱い楔に、一瞬で目の前は、星が瞬くように、煌めいて、颯と混ざり合っていく。

手と手を繋いだまま、二つの身体は、絡まって、(ねじ)れて、互いの隙間を埋めるように、何度も何度も、ひたすらに求めあう。

別々の糸が、引き寄せられるように、重なり合って、強く固く結ばれていく。


ーーーーもう二度と(ほど)けないように。

心も身体も颯で、いっぱいに満たされて、私の意識が、徐々に薄らいでいき、時計の秒針の音と互いの鼓動が、静かに聞こえてくる。私は、颯の瞳を眺めながら、大きな腕の中で、ゆっくりと瞳を閉じた。

そして、時計の秒針が、丁度0時を告げた頃、私達は、聖なる夜に抱き合ったまま眠りについた。
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