続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
ちょうどお会計を済ませて、リンゴ飴を頬張る着物姿の女性に、颯が、後ろから声をかける。

「麻美、明けましておめでと」

振り返った麻美が、驚きながらも、すぐに猫目で笑った。

「わ。見つかっちゃった、颯さんも、美弥ちゃんも明けましておめでとう」

「麻美ちゃん、明けましておめでとう。着物すごく綺麗」

麻美は、淡いベージュの扇柄の小紋を身に纏っていた。金糸で、椿が刺繍されている赤い名古屋帯が、アクセントになっていて、麻美にとても似合っている。

その気品の良さに道ゆく人々が振り返っているのが分かった。

「ありがと、新年初めてのデートだから、気合い入れちゃった」

麻美が、甘えたように見上げた隣の男性に、颯と私の視線は、自然と向けられる。

「こちら、お付き合いしてる、足立京(あだちきょう)さん」

「あ、初めまして、足立京といいます。アマチュアでミュージシャンしてます。えっと……」

金色に染めた短髪に、左耳にはピアスが3つ光る。整った顔立ちで、背は颯と同じ位高い。

見た目は、派手な出立ちで、少し話しかけにくい雰囲気だったが、麻美から紹介されて、頭を掻いている姿は、人の良さが滲み出ていた。
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