続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「麻美ちゃん、幸せそうで良かったね」

「だな。てゆうか、ほらよ」

颯は、リンゴ飴屋のおじさんに、500玉を渡すと私の顔の真ん中にリンゴ飴を差し出した。

「欲しかっただろ?」

「……ありがと」


ーーーーどうして分かっちゃうんだろう。  

颯には、言ったことなかったが、私は、お祭りの屋台で一番好きな食べ物が、リンゴ飴だった。お祭りに行くたびに、大好きだった、お父さんが、必ず買ってくれた事を思い出す。

外はカリッとして甘くて、薄い氷みたいな膜を歯で割っていくと、中の真っ赤なリンゴに辿り付く。小さな頃は、飴の甘さとリンゴ甘酸っぱさの両方が楽しめる、リンゴ飴は、普段お目にかかれない特別な食べ物だった。

「懐かしい味がする……」

颯が、私を見下ろしながら、切長の瞳を細める。

「俺が、ずっと隣に居てやるから」

相変わらず颯には、何でも分かってしまう。

懐かしい味と言ったのは、亡き両親が恋しくなったから。そして、もう二度と独りぼっちにはなりたくないと強く思ったから。


「颯、ずっと側にいてね」 

「離すかよ」

颯が、唇を持ち上げながら、いつものように自信たっぷりの顔で私を見下ろした。

「嫌がっても無理だからな」

私は、思わず、ふっと笑った。

颯の隣から離れるなんて、もうきっと一生考えられない。
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