続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「一口頂戴」

そう言うと、颯は、私の齧った部分に重ねるように、リンゴ飴に齧り付いた。

「甘っ」

颯が、パリパリと飴を噛み砕きながら、渋い顔をしている。

そういえば、クリスマスのケーキも私ばかり食べて、美味しそうに食べる私に、美弥が全部食べていいよと、颯は、ほとんど口にしなかった。

「あれ、もしかして、颯、甘いの苦手なの?」

「まあな、クッキーとかは食えるけど。チョコレートとか飴とか甘ったるいのが苦手でさ」

「じゃあ、来月のバレンタインデーは、クッキーにするね」

それを聞いた颯が、途端に意地悪な顔をする。

「え?何?どしたの?」

「誕生日なんだよね」

「え?」

「2月14日」

颯が、にんまり笑うと、絡めた指先に力を込める。

そしてそのまま、あっという間に私の唇をぱくりと奪った。唇が離された瞬間、視界が明るくなって、見知らぬ数人と目が合った。

「み、皆んな見てたよ……」

「ばか。俺の女だって見せてんの。バレンタインは、甘いモノも要らないから、美弥頂戴」

もう何も言葉が出てこない。颯と居るといつだって心臓は駆け足で、胸がきゅっと高鳴る。

「私で……良かったら……」

「プレゼントは、美弥が一番嬉しいから」

ケラケラと少年みたいに笑う颯に見惚れると、この時の私は、晴れ渡った新年の青空を見上げながら、颯との幸せな未来を、ただ夢見ていた。
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