続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「星川さん、綾乃さん、おはよ」
「あ、北沢課長おはようございます」
「おはようございます」
昨日は珍しく、有給を取っていた千歳が、フレックスで出勤すると、気だるそうに私達に挨拶をした。
パソコンの電源を入れながら、書類の確認を始めた千歳の首元には、ワイシャツの首元ギリギリに絆創膏が貼ってある。
「課長ー、それはヤバいですよ」
切長の瞳を猫目にしながら、麻美が、ケタケタと笑った。
「え?あー……虫さされ」
バツの悪そうな顔をした千歳は、絆創膏を隠すように、ワイシャツの襟を僅かに引き上げた。
「それ通じると思います?ね、美弥ちゃん」
麻美に、いじめられている千歳が、面白くて、ついクスッと笑ってしまう。
「美弥まで笑わないでよ……」
「てゆうか、この忙しいのに有給取って、彼女とデートですかー?」
「どうだろ……」
首元にキスマークを付けた相手の事を思い出したのか、千歳の頬が、珍しく少しだけ染まる。
「これ、独り言ですけどー、昨日、棚田秘書も有給取ってららしいですよ」
「へぇ、知らなかったな」
麻美のするどいツッコミに、千歳は、涼しい顔で返答する。思わず、口元の緩みそうになった私を見つけると、途端に、千歳が、意地悪な顔をした。
「てゆうか、最近、颯先輩のマーキングの痕ないじゃん」
麻美が、その単語に、声を上げて笑う。