続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「面倒だな……瑞季が……お前を妊娠してた時から知っていた。ただ、ホステスをしていた瑞季は、俺の子じゃないと一点張りでね。結局、生まれてからも、DNA鑑定は、勿論拒否されて、認知どころじゃなかった」

「……母さんが、嘘ついてるってアンタなら気づいたんじゃねぇの?手紙にも書いてあったけど」

手紙には、俺の欲しがっていたプラモデルを手に入れて届けてくれた事。ご家族とお幸せに、と康二を気遣う言葉が、並んでいた。

「瑞季から、他の男の子を妊娠したから、別れて欲しいと突然言われてな。俺も馬鹿じゃない。勿論信じてなかった。少し大きくなった、お前を陰から初めて見た時、俺によく似ていて驚いた……血は水よりも濃い」

「じゃあ、何でほったらかした訳?」

康二が、煙草に火をつけたのを見た俺は、ソファーの前のガラステーブルから、灰皿を持ち上げデスクの上に置いた。

「瑞季には……何度も言ったよ。俺と結婚して欲しいとな。会社なんてどうでも良かった。それ程、溺れた女は初めてだった……。でもそんな瑞季は、母子家庭でな。その頃、傾いていた会社にも俺にも、何も力になれないとよく泣いていたよ。そして、私よりも、何万人という従業員の為に、俺の人生を生きて欲しいってな」

一瞬、美弥の顔が頭を過ぎった。

口にこそしないが、美弥は、俺の肩書きや立場に、未だに、息苦しさと不安を抱えているのは、痛いほど分かっている。
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