続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
カラン、と扉の開く音がして、白髪混じりのグレーのチノパンに、黒いスウェット姿の男性が入ってくる。
数年会わないうちに、随分と老け込んだように見える和志が、店内を見渡すと、すぐに私を見つけて、向かいに腰掛けた。
「……久しぶりだね……美弥ちゃん、遅くなって申し訳ない……」
「あ……いえ、私もさっき来たばかりなので……」
和志は、やってきた店員にホットコーヒーを頼むと、油と汚れのついた掌をおしぼりで拭いた。
しんとした、空気が互いの間に流れていく。
長いこと会ってなかったのだ。当然会ってすぐに弾むような会話は見当たらない。私は、沈黙を紛らわすように、カフェラテに口付けた。
「……美弥ちゃん、今お仕事は?」
先に沈黙を破って口を開いたのは、和志だった。
「え?仕事ですか?……えっと、不動産会社で営業アシスタントをしています」
「……そう……いや、そうだよね」
(……そうだよね?)
途端に嫌な予感がして、心臓がドクンと音を立てた。和志が、運ばれてきたコーヒーを一口啜る。
「どうして……?」
「ごめん……美弥ちゃんの事が気になって……跡をつけた事があって……」
「あ……」
すっかり忘れていたが、クリスマス前あたりだろうか?
麻美と帰った時に、誰かから見られているような気がして、振り返った事を思い出した。