続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「……こんなことを……される程……私は、ご迷惑を、おかけしたでしょうか……ひっく……」

高校二年の時から、卒業までの一年半、確かに、最低限の衣食住を、提供してもらって有り難かった。

それでも、アルバイトをして、僅かながら、家にお金も入れていたし、高校卒業後は、何一つ迷惑をかけたつもりはない。

「いや……美弥ちゃんは……何も悪くないんだ……僕が、本当、不甲斐ないばかりに……」

「……ひっく……私の結婚と……お金を引き換えにしたんですか?……」

言葉に出せば、尚更辛くなる。心に重く、現実としてのしかかってくる。

颯と一緒に居られなくなってしまう。

違う……もう一緒に居ることは、許されない。


「……本当にすまない……僕も、なかなか踏ん切りがつかなくて……美弥ちゃんを……売るようなこと……。後をつけて、美弥ちゃんと、安堂社長のご子息の様子を垣間見て、改めて、幸せそうな二人の仲を、僕の自分勝手で切り裂くことが、どれ程残酷な事かも分かってて……何度も何度も自問自答したんだ……。それでも、会社と家族の為に……こうするしかなかった。最低な養父だ……美弥ちゃんの、お父さんに顔向け……できないっ」

絞り出すような和志の声に、心の中は、哀しみと怒りで、呼吸もままならない程に真っ黒に染まっていく。

私は、和志の戸籍に入っているのに、家族じゃないのだろうか。

私の幸せは、どうでも良いのだろうか。

何も持たない私は都合よく利用されて、切り捨てられるのが、当たり前なのだろうか。

いつだって、私の大事なモノは、(こぼ)れていって、手元には、何一つ残らない。


ーーーー颯と一緒にいられたら、それだけで良かったのに。何にもいらないのに。

ただ颯の隣にいること、もうそれすら、もう叶わない。
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