続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
私は、颯からの数十件のスマホの着信履歴を確認してから、小さくため息を吐き出した。

颯に何て言ったらいいんだろう。

どう話したって、きっと颯は納得なんてしてくれない。

ーーーーどんな事があっても、私を選んでくれる。

でもこの先ずっと、颯におんぶに抱っこの状態で、側にいることが、颯の為なのか、もう分からない。

戸籍上の義父とはいえ、康二が、5000万もの融資を私の手切金への代わりに、和志に渡したことは事実であり、そんな大金を私は、今すぐにどうしたって、返す事ができない。

「あ、アンタの服、とりあえず洗って部屋干ししといたから、明日には、乾くと思うけど。コートは、タオルで拭いて掛けといた」

見れば、リビングの隅のお洒落なアイアン製ハンガーラックに、私がさっきまで身につけていた、コートや洋服が綺麗に掛けてある。

そして、実花子の洋服と一緒に見たことのあるスーツの上下とワイシャツが、干してある事に気づく。

(あの、スーツとワイシャツ……)

私の視線に気づいた実花子が、切長の瞳をきゅっと細めた。

「千歳のよ。社内では色々面倒で、内緒にしてるから。アンタも見なかった事にしてよね」

「あの、その、千歳くん……」

「千歳は、基本火曜日か水曜日にしか来ないから。今日は元々会うつもりもなければ、会う約束もしてない。お気になさらず!」
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