続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
実花子は、毛布片手にベッドから少し離れたソファーにゴロンと寝転がった。

「あっ、私ソファーで……」

「……本当に馬鹿ね……もしかしたら、赤ちゃん居るかもだし、もしそうじゃなくても吐くほど体調悪いんだから、ベッドでゆっくり寝て、治して、もう此処には来ないでよねっ」

実花子は、リモコンで電気を消すとクッションを枕がわりにして、ソファーで丸くなった。

途端にしんとして、自分の鼓動と呼吸音だけが響く。それでも、誰かが近くにいる気配にとても安心する。

あのまま一人で雨に濡れていたら、朝まで、あの場に(うずくま)っていたかもしれない。

それ程、心が壊れそうな位、悲しかったから。

「……実花子さん、ありがとう」

もう寝てしまったのだろうか。
静かな部屋からは、何も聞こえない。

そっと瞳を閉じようとした時だった。


「お互い……幸せになろうね」

耳を澄ませなければ、聞こえないほどの小さな声が聞こえた。

私は、実花子のいい匂いのするベッドに包まれながら、ゆっくり瞼を閉じた。
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