続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
ーーーー美弥の事がわからない。

いくら体調不良でも、タクシーでも拾えば、この家に帰ってくる事は、できたんじゃないのか?

実花子は、体調不良の美弥を見かけて、連れ帰ったと話していたが、多分、別に理由がある筈だ。

美弥は、どうしても、今日、この家に帰ってきたくなかったんじゃないだろうか?

もし、そうだとしたら理由は一つだけだ。俺に会いたくなかった、ということなのだろうか……?

「やば。颯先輩、泣かないでくださいね」

俺の盛大な、ため息を聞きながら、千歳が、面白げに唇を引き上げる。

「殴られてぇのかよ!てゆーか、美弥が、俺に会いたくないと思うほどの理由なんて、ちっとも思いつかねぇんだよ」

「だーかーら。颯先輩の性欲が」

「黙れ。お前、ちょっと酔ってんな?」

気づけば、千歳が買ってきてくれた大量の酒と飲み物も、唐揚げやら、卵焼き、枝豆、焼きそばなどが、それぞれ僅かに残ってる程度で、テーブルには、ビールの空き缶が所狭しと並べられている。

よく見れば、千歳の綺麗な二重瞼も、やや重たそうだ。

「はぁ……僕、マジで惚れてんすよね」

「は?何だよ急に?実花子?」

「ちょっと、颯先輩、ほかに誰が居るんですかね」

千歳が、恨めしそうに二重瞼を半分に細めた。
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