続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
こうして、何だかんだと気にかけて、俺が、元気のない時や落ち込んでる時に、こうして心配して見にきてくれるのは千歳くらいだろう。

いつも飄々として涼しい顔で、遠慮のカケラもなく言いたい放題で、仕事に関しては、俺から見ても完璧といえる仕事ぶりだ。

千歳が本気を出せば、俺より経営力、リーダーシップ共に能力は、若干上かも知れない。

それ程、優秀でありながら、千歳は気取ったところもなければ、自慢したりもしない。

大学の頃から、本当に、千歳だけは、いつも俺と対等に接してくれる。  


「北沢……いつもありがとな」 

俺は、千歳の肩まで毛布を掛けると、リビングの電気をリモコンで消したソファーに転がった。包まった毛布からは、美弥の甘い匂いがする。 

「美弥……もう寝たかな」 

美弥が、居ない夜は、やけに暗くて寂しさが募る。リビングから見上げた月は、ちょうど満月だ。俺は、いつも美弥の頭を支えている左腕をみた。


『颯、満月だね、綺麗』

いつもの、そんな美弥の声が降ってきそうだ。
美弥が左隣に居ない夜は、今日で最初で最後にしたい。

ーーーー明日、美弥とちゃんと話そう。

美弥の思いをきちんと聞いて、その上で俺の想いをもう一度きちんと伝えたい。これから一生を共にするなら尚更だ。互いに隠し事もしたくないし、ツラい事は分け合いたい。幸せな事は、二人で何倍にもして、笑いながら抱き合いたい。

「会いてぇな」

女々しくてもいい、情けない男でもいい、美弥が、隣にいてくれるなら、それだけでいいから。
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