続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
いつもより、実花子と早めに出勤した私は、更衣室で実花子と別れると、長方形の箱を手提げバックに忍ばせて、女子トイレへと向かった。

何も悪い事はしていないが、誰もトイレにいないか、キョロキョロしてから入る。

そして、箱の裏面に記載されたどおりの手順で妊娠検査薬を使用すると、判定結果が見えないように両手で握りしめる。

(線が一本なら、陰性。線が二本なら……陽性)

一分後には、結果が分かると思うと、動悸がして、汗もかいてきた。


「……どうしよう……」

誰にも聞こえない小さな声は、震えていた。

(もし赤ちゃんが居たら……)

正直、和志との事がなければ、康二には反対されているとはいえ、きっと私は颯に伝えていただろう。

そして、颯は、私達の元にやってきた小さな命をきっと喜んでくれる、そんな気がした。

でも今は状況が違う。

妊娠していても、していなくても、颯とは別れなければならない。一人で育てていかなければならない。


「赤ちゃんが居たら……一人で」

私は、唇をきゅっと噛み締める。

そして、妊娠検査薬を握りしめている掌をそっと、開いた。


(あ…………)
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