続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
妊娠検査薬には、濃いピンクのラインがくっきりと二本浮かび上がっていた。

(……私……妊娠してる)

妊娠検査薬をポケットに仕舞うと、思わず両手で、ペタンコのお腹にそっと触れた。

透けてるわけないのに、お腹の中に小さな卵が見える気がして、愛おしくてたまらなくなる。

そして重ねた両手に涙の粒が弾けていく。

悲しくてではない。
嬉しくて、胸がいっぱいで涙がこぼれていく。

颯との赤ちゃんだから。

この世で一番愛する人との子供が自分のお腹にいることが嬉しくて涙が止まらない。

「ひっく……私と……颯の赤ちゃん……」

私は、袖で涙を拭った。
泣いている時間なんてない。

今の私には、どうしたって、この幸せな出来事を、颯には伝えられない。

和志があのお金を受け取り、誓約書にサインした以上、私は、颯と一緒には居られないから。もし全てを話せば、私と子供のために、安堂不動産を捨ててでも一緒になってくれるのが分かっているから。

「……私が……ママが……守ってあげるからね」

私は、何度もお腹に手を当てながら、意を決して社長室へと向かった。
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