続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「おはよう。来ると思っていたよ。どうぞ」

康二は、デスクから立ち上がると、書類を片手に、黒革のソファーに腰を下ろした。

私は、小さく会釈してから、真向かいに座る。

康二は、すぐに封筒から、書類を取り出した。そこには、隠し撮りと思われる和志の写真、そして、和志の妻や娘の写真まで揃えられていた。

「綾乃和志さん、君のお父さんの従兄弟であり、君の義父だよね」

「卑怯ですね。義父と私がもう何年も連絡をとっていないことをご存じの上で、和志さんの経営する工場への低金利での融資と引き換えに、颯のとの婚約破棄の誓約書を書かせるなんて……」

康二は、愉快そうに鼻を鳴らすと、融資の契約書と、婚約破棄及び誓約書の原本を片手に、ニヤリと笑った。

「これで分かってくれたかな?持っている者は、なんでもできる。君やお義父さんみたいに、持ってない者は、どんなに足掻いても結局、何一つ手に入れる事なんてできないんだよ」

「そんなことないですっ。颯は、私が何も持っていなくても、何もできなくても、真っ直ぐに愛してくれました。私は、颯から、かけがいのない沢山の宝物を貰いました……それは、全てお金じゃ買えないものばかりです」

一瞬だけ、康二の瞳が見開かれるのが分かった。 
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