続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「……絵に描いたような綺麗ゴトだな……綺麗ゴトだけでは……互いの想いだけでは、会社は守れない」

その瞳は、どこか悲しげで、私は、颯の母親のことが頭をよぎった。

本当に、康二は、瑞季の事をとても愛していたのかも知れない。

そもそも、本当にただの愛人で遊びだったのなら、わざわざ忙しい合間を縫って墓参りに行くだろうか?

「颯のお母さん……の事思い出されてるんでるか?」

「瑞季の事など、何とも思っていない。ただの愛人だよ」

「……悲しそうな顔をされてるから……本当は、颯のお母さんと一緒になりたかったんじゃないですか?……でも、会社の為に……社長は、多くの従業員の為に瑞季さんを諦めたんじゃないですか?」

「馬鹿馬鹿しいね。俺は麗夜の母親の後ろ盾のお陰で今があると思っている。瑞季と結婚するつもりなどハナからなかったよ……それに、そもそも、君には関係のない事だ」

康二は、冷たく言い放つと、煙草を取り出し火をつけた。私の目の前で白い煙を吐き出していく。

(……赤ちゃん……)

私は、スカートの裾をぎゅっと握りしめた。
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