続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「……すみません、煙草消して頂けますか?」

「ふっ……颯のお気に入りだからと言って、勘違いしてないかな?俺に指図できる立場か?身の程を知るんだな」

今までも、煙草の匂いは好きではなかったが、妊娠のせいだろうか。その匂いがやけに鼻について、胃がムカムカとしてくる。

「で?いつ颯から手を引いてくれるのかな?契約は済んでるんだ。できれば今日、明日にでもあの家から出て行って欲しいんだが?」

「……分かりました。今日、明日には、颯の家から出ていきます……」

「物分かりが良くて助かるよ。全てを、颯に話されてしまっては厄介だと思っていたが、君の性格上、このままだと工場が倒産して、あの一家が路頭に迷うのは、いくらもう縁が切れていたといっても気が引けるんじゃないかと予想してたんだよね。いいじゃないか。颯には、たんまり可愛がって貰っただろうし、義父一家に恩返しまでできたんだから」

クククッと笑う、康二を心から軽蔑しそうになる。

眉間に皺を寄せる私を見下ろしながら、康二が、煙草の火を消すと、ガラステーブルにそれを置いた。

「あと、これを使いなさい」

ガラステーブルに置かれたのは、マンションのキーと、颯と複数の見知らぬ女性のツーショット写真だ。

「この鍵は?」

「俺が君のために借りておいたワンルームマンションの鍵だ。住所は、その白い紙を見るんだな。新しい家が決まるまで好きに使え。金は、君が出ていくまで、こちらで払うのでお気になさらず。あと、写真だが、接待の時の、取引先会社の秘書達と颯の写真だ。勿論、接待場所に案内されただけだが、アングル的に二人で旅館やホテルに入っていくようにワザと撮らせてある」

私は、写真を拾い上げた。そこには、確かにスーツ姿の颯と、何か談笑するような、綺麗な女性が写っていた。
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