続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「この写真の女性達との関係を疑って、私が颯の家を出るということでしょうか?」

「いや、これはあくまで、一つの材料だよ。君が、颯に対して特別な感情が、無くなった一つの原因として、使えばいい。あとは、自分は、颯の隣は、やはり相応しくないとでも、颯への気持ちが冷めたでも何でもいい。とにかく颯と別れてくれれば、それで満足だ。颯には、まだ話してないが、来年のアウトレットモールのオープンに向けて、ある大手取引先とのお嬢さんとの縁談を進めていてね、来月末には、顔合わせしたいんだが、間に合いそうで嬉しいよ」 

康二が、2本目の煙草に火をつけた。

「やはり、颯には、それ相応の女性が隣にいてこそ、今後経営者としても、ひとりの男としても大きな成長するだろうからね」

胸が、苦しくなる。

颯と本当に別れなければならないなんて……颯に気持ちがないなんて、そんな嘘を()けるだろうか?()きとおすことが、私に可能だろうか?

「話は以上だ、他に何か?」

康二の吐き出した煙に、胃から込み上げてくるものを感じた私は、写真だけ鞄に放り込んで、マンションの鍵と地図は、康二に突き返した。

「これは……必要ありません」

「颯に、バレるようなヘマはしないでくれよ」

胃液が、上がって来る。私は、思わず口元を覆った。

「分かって、ます……あと……仕事は……?」

「雇用も俺の一任で、君が颯の元をさり、出勤しなくなった日から、有給消化にはいり、そのあと依願退職扱いにしておくよ……では、お疲れ様でした」

「……お世話に、なりました」

私は、いよいよ喉元まで込み上げたモノを飲み込みながら、目に涙が滲むのも構わず、社長室を後にした。

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