続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
ーーーー違うの。そうじゃないの。

和志から、あんな話をされなかったら、昨日だってハンバーグを作って、颯が美味しいって食べてくれるのを見て、夜はベッドで二人で抱きしめ合って眠ってた。

でも、そんなささやかで幸せな日常は、もう帰って来ない。

「そんな顔すんな……ごめんな、連絡しにくかったな。でも次からは、なるべく早く迎えにいくからさ、俺に何でも言えよ?」

泣いちゃいけない。

泣いたら、颯に別れ話どころじゃなくなってしまう。それでも、颯の顔をみて優しくされると、手を伸ばして抱きしめて欲しくなる。

「あ、全然大丈夫だから……これ有難う」

私は、平気なフリをして起き上がると、颯にジャケットを手渡した。

立ちあがろうとして、そのまま颯に抱きしめられる。

「言って」

「え?」

「実花子から朝のスケジュール伝達の時に聞いた。昨日?親父に何言われた?どうせ俺との結婚認めねぇとか、相応しくないとか、そんなんだろ?」

そうだったら、どんなに良かっただろう。

康二が和志に私への手切金の代わりに、和志と5000万の融資の契約を交わし、更には婚約破棄の誓約書まで和志に勝手にサインされて、颯と別れなければならないなんて、言える訳ない。

颯に迷惑かけてばっかりのお荷物にだけは、なりたくない。
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