続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「美弥。俺、美弥しかいないし、いらないから。クリスマスに結婚して欲しいって言ったの本気だから。だから、美弥も俺に何でも話して欲しい。美弥が泣くのは、俺の腕の中だけにして欲しい」

私は、やっぱり弱い。

こうやってすぐに、颯の腕の中にいれば、泣きそうになって、颯に縋りたくなる。

強くなりたいのに、強くならなきゃいけないのに。

込み上げてくる涙を、颯に気づかれないように呼吸と共に一生懸命飲み込んでいく。

「美弥大丈夫だから、俺が居るから。親父からも必ず守るから」

「颯……」

「次、親父から何か言われたら、俺が黙らせてきてやるからな」

「颯……私ね……」

ちゃんと言わなきゃいけない。
ちゃんと颯から離れなきゃいけない。
もう隣には居られないのだから。 

「あ。ごめん、ちょい待って」

颯は、私から身体を離すと、デスクの引き出しから、書類を取り出して、私に差し出した。

「え?これ……?」

先月が締切だった、システムキッチンの企画書だ。

記名はなく、提出順に番号が振られて審査にかけられるのだが、見ればすぐに分かる。私の企画書だ。颯が、形の良い唇を引き上げると、私の頭をくしゃっと撫でる。

「俺や北沢、麗夜含め、上役達の会議で公平に審査にかけた結果、美弥の企画が通ったんだ!」 

「え?私……」

颯の言葉に理解が追いつかない。颯は、私の頬にそっと触れた。
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