続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「満場一致で、決まってさ。親父の承認印もらったら、すぐに発売に向けて急ピッチで取り掛かるから。『スマイルキッチン』っていう商品名も良かった!家族みんなが、入り浸りたくなるような団欒のスペースであれるようにと、願いを込めた次世代ファミリー向けシステムキッチン!これは、絶対売れる!あの麗夜も太鼓判押して、いまもう広報の方も動き出してるから」

「信じ、られない……」

「さすが、俺の女だな。他の女が持ってないモノばっかり美弥は持ってる。美弥は自信持って、俺の隣に居たらいいから。誰にも文句は言わせない」

神様は、なんて意地悪なんだろうか。

システムキッチンの企画も通り、颯との間に赤ちゃんも授かったのに、私は、心から喜ぶ事ができない。

颯と離れなければならない事ばかりが、頭にこびりついて、それでも心は颯だけを求めて、心と身体がバラバラになって壊れてしまいそうだ。

「美弥?どした?驚きすぎて固まった?」

私は、小さく首を振った。

「ううん……驚いたけど……企画、通ったのなんて本当たまたま運がよかっただけだし……私は……颯が思ってるようなモノ、何一つ……持ってないから」

颯の表情が、途端に変わる。

「何?どした?まだ何か俺に言えない事でもあんの?」

「……私ね……」

身体の芯から震えそうになる。

自分から颯の手を離すのが、こんなにも苦しくてコワイ。
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