続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「颯とは、結婚できない」

なんとか震えずに紡いだ言葉に、私と颯の間に一瞬で冷たい空気が張り詰めた。

「え?何、言って……?」

颯が、大きく目を見開いたまま、私の目を見つめる。

颯に見つめられたら、泣き出してしまいそうだった私は、一気に言葉に吐き出してしまう。

「颯からプロポーズされてから……ずっと考えてて……結婚って一生だから。でも一生颯の隣にいると考えたら窮屈だなって……いつまでたっても自分に自信がもてないし、どんどん惨めになるの……私、結婚するなら、やっぱり気軽にお付き合いできて、対等の関係でいられる人がいいなって」

泣きそうな顔も悲しい顔もしない。

泣くのも悲しむのも、あとで一人になってからだ。今じゃない。


「何それ。何でそんな嘘吐く訳?俺の隣がそんな嫌だったら、俺ら、とっくに別れてたんじゃねぇのかよ。俺は、美弥と対等だと思って付き合ってたし、生涯のパートナーは、美弥しか考えられないって思ってる。俺の隣が窮屈に感じるなら、美弥にそう思わせないように、もっと俺が努力するから」

(ごめんね、颯……ごめんなさい)

「……それだけじゃないの、颯の事がもう、信用できないから」

私は、康二から貰っていた写真をソファーの前のガラステーブルに、ばら撒いた。
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