続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
「いいかげん、こっち向け」

私は、広すぎる浴槽の端っこに掴まったまま、颯に背を向けている。もう10分は、こうしているだろうか。

「美弥」

浴室の中で、颯の少し高めの甘い声が私の名前を呼ぶ。

「……だめっ。颯、先に上がってよー」

颯に、後ろを向いて貰って、なんとか体も髪の毛も洗い終えたものの、浴槽の中に裸で二人きりなんて、恥ずかしすぎて、もう涙が出てきそうだ。
 
「美弥が一緒に上がってくれるなら、上がる」

「無理っ、見えちゃうじゃん!恥ずかしいっ」

咄嗟に入浴剤をミルクバスにしておいて正解だった。肩まで浸かれば、颯からは、私の頭しか見えていない筈だから。

「なぁ、さっきから、それで隠れてるつもり?つーか、丸見えだし」

「嘘っ!」

慌てて自身の胸元を確認するが、ミルクバスのおかげで肌は透けて見えていない。

「ばぁか。ミルクバスで隠れてるとこも、脳みそで記憶してるから、俺から見たら、ケツまで丸見えなんだよ」

「え!何それ!どうゆうこと?」

思わず、颯の方を振り返った瞬間に、颯が、ザバッと立ち上がるのを見て、私は、慌ててまた浴槽のヘリにしがみついた。

「どうせ、俺から逃げらねぇんだからさ」

そのまま颯は、私のすぐ後ろに腰を下ろすと、両手を私のお臍あたりに回して、膝に座らせる。

自分の背中越しに颯の素肌が当たって、頭のテッペンまで湯気が出そうになる。

「美弥、こっち向いて」

「ダメ……本当に恥ずかしいの……」

「今更だろ。ベッドで俺に、毎回何されてんの?」

「それは……」

私は、更にミルクバスの中に鼻の下までつける。

こんな事で、颯から逃げられないのは分かってるけれど、明るい所で裸同士なんて、もう心臓が破裂しそうだ。
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