続・23時のシンデレラ〜甘い意地悪なキスをして〜
ーーーー『それで……かな?』

ーーーー『……ははは、気に………』

(え?この声……)

私の瞳と颯の瞳が、すぐにかち合う。

この隣の部屋は、喫煙ルームだ。私に覆いかぶさっていた颯が、静かに私から離れると、壁に耳を当てた。私もさっと乱れた服を整えて、颯の隣で同じようにして、耳をすます。


『……先日話した通りですよ、えらく慎重ですね……』

(間違いない、安堂康二の声だ……誰かと電話で話してる……?)

颯が、私を見ながら、人差し指を口元に当てた。私も小さく頷く。

『で?……ははは……何を悩むことがあるんですかね……そうですね』

康二は、苛立っているのか、革靴のつま先をカツカツと鳴らしている。

『良い返事を期待してますよ……えぇ、綾乃さんの事は、こちらにお任せください』


(ーーーー綾乃さん?)


『ったく、これだから、金に困るような人生を送るんだ』

電話が、終わったのだろう。康二は、ため息混じりに、ガチャリと扉を開くと、その足音は、すぐに小さくなっていった。
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